第13条は「住所地特例」についての条文、介護支援専門員実務研修試験では結構悩まされるところでもあります。では、まずはいつもように本文の引用から。
(住所地特例対象施設に入所又は入居中の被保険者の特例)
第十三条 次に掲げる施設(以下「住所地特例対象施設」という。)に入所又は入居(以下この条において「入所等」という。)をすることにより当該住所地特例対象施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者(第三号に掲げる施設に入所することにより当該施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者にあっては、老人福祉法第十一条第一項第一号の規定による入所措置がとられた者に限る。以下この条において「住所地特例対象被保険者」という。)であって、当該住所地特例対象施設に入所等をした際他の市町村(当該住所地特例対象施設が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるものは、第九条の規定にかかわらず、当該他の市町村が行う介護保険の被保険者とする。ただし、二以上の住所地特例対象施設に継続して入所等をしている住所地特例対象被保険者であって、現に入所等をしている住所地特例対象施設(以下この項及び次項において「現入所施設」という。)に入所等をする直前に入所等をしていた住所地特例対象施設(以下この項において「直前入所施設」という。)及び現入所施設のそれぞれに入所等をすることにより直前入所施設及び現入所施設のそれぞれの所在する場所に順次住所を変更したと認められるもの(次項において「特定継続入所被保険者」という。)については、この限りでない。
一 介護保険施設
二 特定施設
三 老人福祉法第二十条の四に規定する養護老人ホーム
第13条は本文が長いため、1項ずつ切って話を進めていきます。
第1項では、住所地特例の適用を受ける施設の種類、住所地特例の内容について規定されています。これによりますと、
1. 住所地特例を受ける施設(住所地特例対象施設)は、介護保険施設、特定施設、養護老人ホームのである。
2. これらの施設に入所・入居(養護老人ホームの場合は、老人福祉法の規定による入所 措置による入所に限る)したことで住所の変更を行った被保険者のうち、入所・入居前の住所が施設が所在する市区町村以外の市区町村にあった場合、その被保険者には入所・入居前に住所を有していた市区町村が介護保険の保険者となる。
3. ただし、2箇所以上の住所地特例対象施設に継続的に(つまり施設A⇒施設Bというように)入所・入居し、現在入所・入居している施設の直前に入所していた施設(上記の場合、施設Aが該当)及び現在入所している施設(上記の場合、施設Bが該当)に順次入所・入居することにより住所を変更した場合は上記2.の取扱いを受けない。
では、2箇所以上の住所地特例対象施設に順次入所・入居した場合の取扱いはどうなるのか?第2項に答えがあります。
2 特定継続入所被保険者のうち、次の各号に掲げるものは、第九条の規定にかかわらず、当該各号に定める市町村が行う介護保険の被保険者とする。
一 継続して入所等をしている二以上の住所地特例対象施設のそれぞれに入所等をすることによりそれぞれの住所地特例対象施設の所在する場所に順次住所を変更したと認められる住所地特例対象被保険者であって、当該二以上の住所地特例対象施設のうち最初の住所地特例対象施設に入所等をした際他の市町村(現入所施設が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるもの 当該他の市町村
二 継続して入所等をしている二以上の住所地特例対象施設のうち一の住所地特例対象施設から継続して他の住所地特例対象施設に入所等をすること(以下この号において「継続入所等」という。)により当該一の住所地特例対象施設の所在する場所以外の場所から当該他の住所地特例対象施設の所在する場所への住所の変更(以下この号において「特定住所変更」という。)を行ったと認められる住所地特例対象被保険者であって、最後に行った特定住所変更に係る継続入所等の際他の市町村(現入所施設が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるもの 当該他の市町村
第1号では、例えば自宅⇒施設A⇒施設B(現在入所・入居中)という経過をたどって住所変更をしている被保険者がいたとして、自宅から施設Aに入所(入居)したときに施設Aの所在地が自宅住所とは異なる(現在入所・入居中の施設Bの所在地とも異なる)市区町村にあった場合、この被保険者の介護保険の保険者は、元々自宅があった市区町村であることを規定しています。
また、自宅⇒施設A⇒施設Bと入所(入居)し、これに伴い住所変更した場合でも、例えば自宅住所と施設Aの所在地が同じ市区町村にあり、施設Aの所在地と施設Bの所在地の市区町村が異なる場合には、施設Aの所在地である市区町村が保険者となるということが第2号の規定となっています。
そして、この住所地特例の適用に係る届出について、介護保険法施行規則に次のような定めがあります。
(住所地特例対象施設に入所又は入居中の者に関する届出)
第二十五条 被保険者が、法第十三条第一項本文若しくは第二項の規定の適用を受けるに至ったとき、又は同項の規定の適用を受けるに至った際現に入所又は入居(以下この条において「入所等」という。)をしている住所地特例対象施設(法第十三条第一項に規定する住所地特例対象施設をいう。以下この条において同じ。)から継続して他の住所地特例対象施設に入所等をすることによりそれぞれの住所地特例対象施設の所在する場所に順次住所を変更(以下「継続住所変更」という。)したときは、十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を、当該者に対し介護保険を行う市町村に提出しなければならない。
一 被保険者が、法第十三条第一項本文若しくは第二項の規定の適用を受けるに至った年月日又は継続住所変更をした年月日
二 氏名、性別、現住所及び従前の住所
三 入所等をしている住所地特例対象施設の名称
四 被保険者証の番号
五 世帯主である者についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名、性別及び生年月日並びに世帯主との続柄
2 被保険者が、法第十三条第一項本文又は第二項の規定の適用を受けなくなったときは、十四日以内に、その年月日並びに前項第二号、第四号及び第五号に規定する事項を記載した届書を、当該者に対し介護保険を行う市町村に提出しなければならない。ただし、法第十一条の規定により被保険者の資格を喪失した者にあっては、この限りでない。
第13条第3項については、住所地特例が、介護保険施設等の整備が進んでいる市区町村に施設入所(入居)に伴って被保険者が集中し、これにより保険給付額が非常に多くなることを回避するために設けられたものであることに鑑み、対象施設も協力してほしい、ということを述べています。
3 住所地特例対象被保険者が入所等をしている住所地特例対象施設は、当該住所地特例対象施設の所在する市町村及び当該住所地特例対象被保険者に対し介護保険を行う市町村に、必要な協力をしなければならない
(以下、10月26日追記)
住所地特例の対象施設についてのブログ記事がありました。重要な事務連絡について述べられていますので必ず目を通してください。URLは次のとおりです。
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