第51条、「高額介護サービス費」の支給についての話です。
(高額介護サービス費の支給)
第五十一条 市町村は、要介護被保険者が受けた居宅サービス(これに相当するサービスを含む。)、地域密着型サービス(これに相当するサービスを含む。)又は施設サービスに要した費用の合計額として政令で定めるところにより算定した額から、当該費用につき支給された居宅介護サービス費、特例居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、特例地域密着型介護サービス費、施設介護サービス費及び特例施設介護サービス費の合計額を控除して得た額(次条第一項において「介護サービス利用者負担額」という。)が、著しく高額であるときは、当該要介護被保険者に対し、高額介護サービス費を支給する。
2 前項に規定するもののほか、高額介護サービス費の支給要件、支給額その他高額介護サービス費の支給に関して必要な事項は、居宅サービス、地域密着型サービス又は施設サービスに必要な費用の負担の家計に与える影響を考慮して、政令で定める。
高額介護サービス費、この言葉をどこかで聞かれたことがあると思います。
これは、要介護被保険者が居宅サービス・地域密着型サービス・施設サービスを受けたときに、これらのサービスを受けるのに必要な利用者負担の額が政令(介護保険法施行令、後述)で定める額を超える場合に支給される保険給付の一つの形態です。
支給要件など、政令委任がありますので引用します。長いので1項ずつ引用します。
第二十二条の二 法第五十一条第一項に規定する政令で定めるところにより算定した額は、要介護被保険者が受けた居宅サービス等(居宅サービス若しくはこれに相当するサービス、地域密着型サービス若しくはこれに相当するサービス又は施設サービスをいう。以下同じ。)に係る居宅介護サービス費、特例居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、特例地域密着型介護サービス費、施設介護サービス費及び特例施設介護サービス費の合計額(以下「介護サービス費合計額」という。)に九十分の百(法第五十条の規定が適用される場合にあっては、百分の百を同条に規定する百分の九十を超え百分の百以下の範囲内において市町村が定めた割合(次項第一号において「市町村特例割合」という。)で除して得た割合)を乗じて得た額とする。
まずは、高額介護サービス費の支給に際して算定の基礎となる介護サービス費用の額ですが、要介護被保険者が受けたサービスに係る居宅サービス費・特例居宅サービス費・地域密着型介護サービス費・特例介護密着型介護サービス費・施設サービス費・特例施設サービス費の合計額に90分の100(つまり1.1)を乗じた額となります。ただし、第50条の適用を受ける場合は、市町村特例割合に従って乗じる額も変動します。
2 高額介護サービス費は、同一の世帯に属する要介護被保険者等(法第六十二条に規定する要介護被保険者等をいう。以下同じ。)が同一の月に受けた居宅サービス等及び介護予防サービス等(介護予防サービス若しくはこれに相当するサービス又は地域密着型介護予防サービス若しくはこれに相当するサービスをいう。以下同じ。)に係る次の各号に掲げる額を合算した額(以下「利用者負担世帯合算額」という。)が三万七千二百円を超える場合に、当該月に居宅サービス等を受けた要介護被保険者(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者(以下「被保護者」という。)を除く。以下この項、次項及び第五項において同じ。)に支給するものとし、その額は、利用者負担世帯合算額から三万七千二百円を控除して得た額に要介護被保険者按あん分率(要介護被保険者が当該月に受けた居宅サービス等に係る第一号及び第二号に掲げる額の合算額(以下「要介護被保険者利用者負担合算額」という。)を利用者負担世帯合算額で除して得た率をいう。)を乗じて得た額とする。
一 要介護被保険者が受けた居宅サービス等(次号に規定する特定給付対象居宅サービス等を除く。)に係る介護サービス費合計額に九十分の十(法第五十条の規定が適用される場合にあっては、百分の百から市町村特例割合を控除して得た割合を市町村特例割合で除して得た割合。次項、第四項及び第八項において同じ。)を乗じて得た額
二 要介護被保険者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による一般疾病医療費の支給(以下「原爆一般疾病医療費の支給」という。)その他厚生労働省令で定める給付が行われるべき居宅サービス等(以下この号及び次項において「特定給付対象居宅サービス等」という。)を受けた場合に、当該特定給付対象居宅サービス等(居宅介護サービス費若しくは特例居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費若しくは特例地域密着型介護サービス費又は施設介護サービス費若しくは特例施設介護サービス費の支給の対象となる部分に限る。)について当該要介護被保険者がなお負担すべき額
三 居宅要支援被保険者(法第五十三条第一項に規定する居宅要支援被保険者をいう。以下同じ。)(被保護者を除く。次号並びに第二十九条の二第二項、第三項及び第五項において同じ。)が受けた介護予防サービス等(次号に規定する特定給付対象介護予防サービス等を除く。)に係る介護予防サービス費、特例介護予防サービス費、地域密着型介護予防サービス費及び特例地域密着型介護予防サービス費の合計額(以下「介護予防サービス費合計額」という。)に九十分の十(法第六十条の規定が適用される場合にあっては、百分の百から同条に規定する百分の九十を超え百分の百以下の範囲内において市町村が定めた割合(以下この号及び第二十九条の二第一項において「市町村特例割合」という。)を控除して得た割合を市町村特例割合で除して得た割合。第二十九条の二において同じ。)を乗じて得た額
四 居宅要支援被保険者が原爆一般疾病医療費の支給その他第二号に規定する厚生労働省令で定める給付が行われるべき介護予防サービス等(以下この号及び第二十九条の二第三項において「特定給付対象介護予防サービス等」という。)を受けた場合に、当該特定給付対象介護予防サービス等(介護予防サービス費若しくは特例介護予防サービス費又は地域密着型介護予防サービス費若しくは特例地域密着型介護予防サービス費の支給の対象となる部分に限る。)について当該居宅要支援被保険者がなお負担すべき額
高額介護サービス費支給の原則は、同一世帯の要介護被保険者等が同一月に受けた居宅サービス・地域密着型サービス・施設サービス・介護予防サービス・介護予防地域密着型サービスに係る利用者負担額、原爆一般疾病医療費の支給その他第二号に規定する厚生労働省令で定める給付が行われるべき居宅サービス等及び介護予防サービス等に係る利用者負担の額の合計が37,200円を超えた場合に、その合計額から37,200円を差し引いた額に、それぞれの対象被保険者の按分率を乗じた額を各被保険者に支給する、というものです。
あっ、省令委任ですね。引用しましょう(記事が相当長くなってしまいます。ごめんなさい)。
(令第二十二条の二第二項第二号の厚生労働省令で定める給付)
第八十三条の二 令第二十二条の二第二項第二号の厚生労働省令で定める給付は、次のとおりとする。
一 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第十二条第一項第一号又は第二項第一号の医療費の支給
二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第三十七条の二第一項の規定により費用の負担が行われる医療に関する給付又は当該医療に要する費用の支給
三 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第十六条第一項第一号又は第二十条第一項第一号の医療費の支給
四 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第五十八条第一項の自立支援医療費、同法第七十条第一項の療養介護医療費又は同法第七十一条第一項の基準該当療養介護医療費の支給
五 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第四条第一項の規定による医療費の支給
六 沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和四十七年政令第百八号)第三条又は第四条の医療費の支給
七 前各号に掲げる給付に準ずるものとして厚生労働大臣が定める給付
第7号の「厚生労働大臣が定める給付」ですが、「介護保険法施行規則第八十三条の二第七号の規定に基づき厚生労働大臣が定める給付」(平成12年3月31日厚生省告示第193号)において、次の各給付が規定されています。
一 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十八条第二項の規定に基づく指定医療機関(同項に規定する指定医療機関をいう。)において市町村の委託により行われる医療の給付
二 昭和四十八年四月十七日衛発第二百四十二号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
三 昭和五十九年四月十日衛発第二百六十六号厚生省公衆衛生局長通知「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給
四 平成元年七月二十四日健医発第八百九十六号厚生省保健医療局長通知「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
五 平成四年四月三十日環保業第二百二十七号環境事務次官通知「水俣病総合対策費の国庫補助について」による療養費及び研究治療費の支給
六 平成十二年三月十七日健医発第四百七十五号厚生省保健医療局長通知「原爆被爆者の訪問介護利用者負担に対する助成事業について」による介護の給付
七 平成十二年三月十七日健医発第四百七十六号厚生省保健医療局長通知「原爆被爆者の介護保険等利用者負担に対する助成事業について」による介護の給付
八 平成十五年六月六日環保企発第〇三〇六〇六〇〇四号環境事務次官通知「「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業要綱」について」による医療費の支給
九 平成十七年五月二十四日環保企発第〇五〇五二四〇〇一号環境事務次官通知「メチル水銀の健康影響に係る調査研究事業について」による研究治療費の支給
十 別に厚生労働大臣が定める指定訪問介護(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)第四条に規定する指定訪問介護をいう。)、指定介護予防訪問介護(指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十五号)第四条に規定する指定介護予防訪問介護をいう。)及び指定夜間対応型訪問介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十四号)第四条に規定する指定夜間対応型訪問介護をいう。)に係る介護の給付
ここから先の各告示等については、きりがないので引用しません。関心のある方は各自で探してください。
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