介護保険法第8条、ようやくラスト2項です。まずは第25項から。
25 この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。
ついでに介護保険法施行規則第20条も。
(法第八条第二十五項の厚生労働省令で定める要介護者)第二十条 法第八条第二十五項の厚生労働省令で定める要介護者は、病状が安定期にあり、介護老人保健施設において、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療を要する要介護者とする。
ここでは、私が勤務している職場でもあります「介護老人保健施設」についての規定です。
内容としては「読んでそのまま」的なところがあるのですが、1点だけ抑えておいてほしいポイントが。
前項の「指定介護老人福祉施設」及びこの後に登場する「指定介護療養型医療施設」には「指定」という言葉が冠されているのですが、この「介護老人保健施設」には「指定」という言葉がつきません。おまけに介護保険法本文には「都道府県知事の許可」という言葉が登場しているのです。
これは、各施設がその存在について拠り所としている法律が異なっていることが原因です。
前回も記しておきましたとおり、「指定介護老人福祉施設」を開設しようとすれば、その前提として、老人福祉法でいう「特別養護老人ホーム」の設置認可を受けていることが必要です。そこに介護保険法上の「指定介護福祉施設」としての“指定”を受ける、という二重の手続を踏まなければなりません。これと同じように、「指定介護療養型医療施設」についても、まずは医療法での「病院」又は「(有床)診療所」としての開設許可を受けなければなりません(詳細は次項にて)。つまり、それぞれ老人福祉法、医療法という法律で一定の基準を満たして、初めて介護保険法の基準を満たすことができる、ということです。
ところが、「介護老人保健施設」だけは、介護保険制度の施行により、その拠り所が老人保健法から介護保険法へと全面的に変わったのです。なので、老人福祉法や医療法といった前提となる法律が存在しない、つまり介護保険法の基準を満たせば介護保険施設として開設することができる、というわけです。
介護保険法が施設存在のための唯一の根拠となることから、開設の「許可」という表現をしているものと考えられます。
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